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第48話 奥庭園の案内

Author: 甘梨鈴
last update Last Updated: 2025-07-20 17:00:02

「今日も、まだ具合が良くないようですね」

「えっ、あ、その……」

 誤魔化そうとしたが、ルシアンの瞳に見つめられると、嘘は言えない。

  エマは小声で答えた。

「少し、微熱がありまして……」

「昨日も公務だったと伺いましたが。働きすぎではないですか?」

「いえ、そんなっ。薬も飲みましたし、大丈夫ですっ」

 王太子の計らいで公務ということになっているが、実際は休みを頂いたのだ。客人であるルシアンに本当のことは言えないが、エマは大丈夫だと笑顔を見せた。

 しかし、ルシアンは軽く首を振って、小さく息を吐いた。

「無理をして悪化したらいけませんから。今日は王都へ出かけるのは止めにしましょう」

「ぁ……あの、私なら平気ですっ。これくらいの熱は、慣れておりますので」

「いいえ。駄目ですよ」

 ルシアンは微笑みながらも、きっぱりと言った。

(どうしよう……)

 体調管理もできず、熱があるのを見抜かれて、気を遣わせてしまうなんて。

 接待役として失格だ。

(ルシアン様も、僕のこと呆れちゃったかも)

 しゅん、とうなだれるエマに、ルシアンの優しい声が届く。

「今日も、王宮の庭園を案内してくれますか?」

「えっ?」

「たしか、奥庭園があると伺いましたが」

「は、はいっ!」

 優しい眼差しに、胸が温かくなる。

(ルシアン様と一緒にいられる!)

 エマは嬉しくて、顔がにやけそうになった。

「私がご案内させて頂きますっ」

「お願いします」

  エマは大きく頷き、さっそく奥庭園へ向かうことにした。

  

 +++

  

  

 エマがルシアンを案内したのは、奥庭園だ。

 先日案内した王宮庭園より規模は小さいが、王族や聖樹の為に作られた庭園なので、ランダリエの貴族でも容易に
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